理系大学院生の就活
就活向けの記事ってなんでどれもこれも胡散臭いんだ?
意識高そうなのとか、やたら画像貼ってあるのとか、モノ申す系YouTuberみたいなトップ絵にしてる人とか。
あ、不安煽った方が見てもらえるからか(天地明察)
閑話休題。
私は前年から理系大学院生として研究を進める傍、就活を行っていた。
結果、幸運にも第一志望としていた企業から、希望するポジションで内内定を頂くことが出来たので、就活を終了しようと考えている(外資を受けるか検討していたが、事前に申し込んでいた教育実習に行くので厳しそうだ。)
とはいっても志望度が高い企業以外はそれなりに落ちているので、就活強者ってわけでもない。ただ本当に運が良かった。
色々と理不尽を感じるイベントではあったが、全体を通してどういう感じだったのか、どういう点がポイントだったのかを素人なりに考えて書く。
今後理系大学院生が就活を進める際の参考になればと思う。
特に今年は手探りすぎたし、理系大学院生の就活体験はサンプル数が少ない。結果として無意味に不安を煽る記事しか出てこなかったのでそういうのを減らしたいなと言う想いで書いている。
しかしここで注意するべきなのが、私が極めて暇なタイプ(拘束時間が短め)の理系大学院生であるということだ。自主的に研究自体はやっていた方ではあると思うが、別に春の学会に絶対に出さなきゃいけないとかでもなく、理論系の研究室にいたので別に大学に常にいなければならないわけではなかったので就活のイベントには参加しやすかった。
ついでに言うと今年はコロナの影響もあって大体の面接がオンラインで完結していた。一部対面を検討しているみたいな企業もあったが、大企業であるほど対面ではなくオンライン完結の面接になっていた。
故にこれから先、コロナの影響が緩くなってオンライン面接が廃れると、この記事はあまり参考にならなくなる可能性がある。そこら辺は注意していただきたい。
気を付けるポイント
理系大学院生が本当に気をつけなければならないポイントは3つある。
そこらへんの謎サイトにおいて「研究に集中しすぎるのはよくない」だの、書かれることがあるが、アレはあくまで、「研究しかしてなくて就活を一切しないのはよくない」程度の話であって、「研究をするな」という意味ではない。
ただ、あの手のサイトだと研究をどう進めておくかみたいな話が全然出てこないので、研究するなと書いてあるように感じてしまう人もいるかもしれない。というかなんならたまに研究なんてしないで就活しようみたいなのも無くはない。大学院生が研究しないで何をすると言うのだ。
それなら学部で就活した方が良いということじゃないか。エアプか?
1年目頑張って研究し、瞬間的にちょっと就活して早期終結させるべきだ。
ポイントは以下の3つだ
1就活と研究のブッキングを避けるために手帳をこまめにつける
2志望業界を絞るために夏のインターンから受けておく
3ある程度研究のストーリーは見通しを立てておく。
先行研究や応用先の論文を読む。
1.就活と研究のブッキングを避けるために手帳をこまめにつける
ある意味当然ではあるが、のほほんと生活していた理系大学院生は手帳をつけていないと言うこともあったのではないだろうか?
急に予定が入ったりすることもなく、単一のタスクが忙しいだけなのでスケジュール管理をするまでもなく覚えておけることが多い。
しかし就活は本当に急にスケジュールを調整させられ、ダブルブッキングを起こした場合はリスケのために連絡を取ったり、同時視聴をする羽目になる。こういう事態を避けるためにもある程度手帳をこまめに付けるようにしよう。ipadやgoogleのカレンダーアプリが一番使いやすい。
2.志望業界を絞るために夏のインターンや合説を見ておく
研究に勤しんでいると忘れがちだが、マジで就活直前になると志望業界を選ぶ暇すらなくなる。
志望業界を絞りすぎてはいけないだの色々言われることはある。
実際のところその通りで、自分が思っているより広い業界で自分に適合しているところがあったりすることが発見されるわけだが、それはあくまで最初の段階、企業を選び始める段階での話だ。
本選考が始まってからあまりに雑多に企業を受けていると「他にどんな企業を受けていらっしゃいますか?」等の質問で他のタイミングで答えている就活の軸と矛盾が生じて苦しい受け答えになる。
私は実際就職をし始めたころに受けた某企業で「なぜIT、それもSEなのですか?メーカーや研究職は考えなかったのですか?」などと聞かれ、どうにか答えたが落ちた。
その上、自分の研究分野が使えそうだとか、欲しがられそうな分野を受けないとコミュ強で就活準備が万全な文系学部生に負けるので流石にある程度どういう業界が良さそうかとか、どこを受けようかというのは検討しておこう。それこそ就活サイト(○abbaseとかの合説は良かった)のそれは比較的使いやすいし選考と直結するわけでもないので緩めだし、早い段階から合説してくれるので3月の解禁を待つ必要もない。
あとは短期でもインターンは受けておくと、例え志望度が高いですアピールが出来なくても、「なんか態度としては是非入社したいって感じしないけど、志望度は高いんだな」と思ってもらえるので受け得である。研究の合間やゼミと被らないことを確認してとりあえず申込をしておこう。
エピソードを書き分けて、通るESと通らないESを自分なりに判別しておくのもおそらく有効である。
3.ある程度研究のストーリーは見通しを立てておく。
先行研究や応用先の論文を読む。
これはあまり書かれていないことだが、修士一年程度できっちり研究もしていないと自分の研究のストーリーが固まっていないために企業で技術面談を行った時などにボロが出る可能性がある。
科学的な手続きとしての基礎内容よりも、「どう言う背景でその研究をしていて、どうしてその研究を選んで、何を思ってそのアプローチをとっていて、どう言う展望があるのか、その研究で誰が喜ぶのか」
とったその研究の背景や価値・その中の自分の工夫点といった内容が聞かれやすい。このコロナ禍なので全然研究が進んでいないとか色々事情はあるとは思うが、そう言う場合も、どう言う研究をする予定で、今後どう実験していくかと言うのを考えておけばいいと思う。
この辺をキチンと詰めておかないと資料が作れなかったり面接で殺されるので教授と今後の展望について話をしたり、自分が行うであろう研究の先行研究のイントロを何遍か読んでおくと言ったことをしておくと詰まりにくい。イントロは大体背景と流れが乗っており、結論やabstract,あとは脚注などには今後の展望が書いてあることが多い。是非参考にしよう。
大丈夫。別に教授に見せるわけじゃないんだから間違ってても実際には使わなくてもええんや。
以上三点に関して、決して研究なんかより就活を優先しろ!と言っているわけではない(そもそもそんな専門性を一切使わない就活するくらいなら学部生の頃の方が暇だし楽だし有利だっただろう)。
せっかく研究しているのだから、それをアピールして、技能を評価してくれるところに入りこみたいよね、と言う話である。
続いて追加で役に立ったこと、やっておくといいと思ったことを以下に挙げる
1抑えの企業を受ける
2近い分野、遠い分野、文系の人でそれぞれ友達やESを見てもらえるような関係性の友人、先輩を作る。
3学部生までの自分の成果ややってきたことを整理する。
4研究のポンチ絵を作っておく
1.抑えの企業を受ける
これは面接の練習である。
面接というと、「はい!私が学生時代に取り組んだことは○○であり〜」等の呪文詠唱を想像すると思われる。
多分これで受かると言うか、これを求められる企業も存在すると思われるが、自分が相手だったらと思うとそんな長々と呪文を詠唱しても伝わらないし覚えていられない気がする。
結論から話をして、簡潔にエピソードを喋ったら、相手からの質問に対応する形で会話を行うことに意識を向けた方がウケがいいような気がした。
そして、場数を踏んでいないとどうしてもしどろもどろになってしまったり、質疑応答が空転しがちになるので何回か練習を行った方が良い。
特にオンライン面談の場合、相手の表情を読みながらキリのいい場所を判断して話を打ち切ると言った技術を使えないのでなれないと難しい。
友達に手伝ってもらうのもありだが、結局緊張感は違うのでキャリセンを利用できない場合は抑え企業を受けることで代用するしかない。
それでも落ちる時は凹むが、本番、本命で落とされるよりマシだと思って挑むといいと思われる。
2.近い分野、遠い分野、文系の人でそれぞれ友達やESを見てもらえるような関係性の友人、先輩を作る
これは自分の研究を説明する際にどこまで話や語彙を調整すれば相手に伝わるのかと言うのを認識するために必要なことだ。
例えば物理屋さんの場合「モデル」や「系」と言う言葉を簡単に使う。
しかし、文系、場合によっては分野の違う理系にも意図している意味に伝わらない場合がある。数値計算もその言葉の字面だけ見ると、なんかショボく見えることもあるらしい。
一方でわかりやすさを重視して、必要な情報を抜きすぎると、万が一技術面談に自分の分野と近い人が現れた際に指摘されると死ぬ可能性がある。
故に、近い分野同士で指摘し合い、遠い分野や文系の人にも見てもらうことで、文系の人事から理系な技術面談員まで納得させられる資料、研究概要を作成するようにしておくのが得策であると思われる。
3.学部までの自分のやったことを整理しておく
自分がやったことというのは、サークルや部活、アルバイト、研究生活の中での研究以外のことなどなんでもいい。
インターンの申し込みが始まるM1の夏までにはある程度ネタが決まっているといいだろう。インターン申し込みで何パターンか試して応募して、ウケのいいネタを厳選するといい。最もコストがかかる記入欄だが、最も使いまわしやすい記入欄でもある。
話題に関しては、アルバイトやサークル等は具体的に何をするということはないので、就活のテンプレ通りに文書を構成しておくといい。
そして本番ではここが深堀されるので、どうしてそうなったかとか、どうしてそうしていこうと思ったかなどを掘り下げておく。テンプレ通りに。
具体的に何かを作った経験(技術的な物、プログラミングだとか、ロボットだとか、電子工作だとか)をここに書く場合、何が大変だったか、どうして作ろうと思ったかだけでなく、技術的に色々と食いつかれる可能性がある。
そう言った場合にしどろもどろになるとなんか説得力がなくなるので、ある程度整理しておくと良いだろう。
しかしここは逆にきちんと答えられたり、オファー型の就活サイトにおいてちゃんと書いておくと大変ウケがいい。経験者は活かしていこう。
4.研究のポンチ絵
要するに研究概要を表す図である。
特に、自分の研究内容のレポートを提出する必要のあるタイプの企業では、人事や技術の人がある程度わかりやすいように図を入れられる場合は入れておいた方が話が通じやすく、自分が何を頑張ったかのところに説明時間を割きやすい。自分の研究がとっくに終わってるとか、学会発表したとかならそれをそのまま使えば良いが、そうでない場合、これから先進捗報告や、ゼミ、レポートであったりでも使える可能性もあるので、研究内容が固まり次第作っておくといいだろう。自分の理解も深まる。
総じて、早めに動くと同時にある程度研究をガチるのが、自分とマッチしているいい企業に入れる可能性が上がるのかな〜と思ったり思わなかったりした。あとは推薦を使える場合だが、推薦は正直どの程度有利か不透明で、適当にしてると落ちると聞くので結局消費カロリーが変わらないのかなと思っている。使えないので知らないが。
早めに動くと言ってもオンラインであればある程度ゆるゆる〜っと受けても問題ない。研究室から受けてる人もいたし、自分も自室から私服で受けたりしていた。あとは自分が入りたいと思った企業に関しては企業ページやプレスリリースを眺めて、企業の考える「この企業の強み、目標」みたいなのを見つけて自分の志望動機に組み込めれば良いだろう。
あとこれは追記だが、筆記試験の対策はほぼ不要......と言いたいが、とりあえず問題集を前日とか一週間前までに一周するくらいはやってもいいだろう。
一番有名な青いやつの非言語に絞れば大体半日で一周できる。ぱっと見でわからん奴は本番でも時間がかかるので答えを見て解法を覚えればよい。
兎にも角にも不安を煽って、広告と謎の就活サイトに誘導する謎のブログよりも実体験に寄せて書いた。
無駄に就活に時間を浪費しないように、かと言って路頭に迷わないようにバランス取っていこう。