朝ごはん
カーテンの外はもう明るい。
目覚ましが鳴っている。
起きていない脳みそのまま手を伸ばし、けたたましく鳴り響くそれを勢いよく叩いた。音は鳴り止んだが春になりたての朝はまだ肌寒く、故にしばらく布団の中でぬくもりを感じなくては起きることができない。もぞもぞと動く。しかしそんな自分でも起きなくてはいけない理由があるのだ。
「ごはん!」
そう、"ごはん"だ。
冷たい部屋の空気を吸い込むと一気に立ち上がった。
朝が弱いわけではないのだが、寝れるときはいつまでも寝続けるのためにご飯とコーヒーを飲む時間は一日の中でいちばん大切な時間なのである。
戸棚においてある食パンを一枚だすと、巷で人気のカレーの味がするスプレッドを半分だけ塗りオーブントースターにいれた。それから冷蔵庫を開けると常備してあるウインナーと卵をつかみ取りフライパンで焼く。熱々のフライパンに卵を割り入れるときの弾けるようなあの音がたまらなく好きだ。オーブンの中に入った食パンとフライパンの目玉焼きを待っている間に思いっきり部屋の空気を吸い込んだ。(うーん、オーブンからカレーの香ばしい香りが…)そう思った瞬間お腹の空腹感が増した。
お皿に目玉焼きとウインナーを盛り付ける。オーブンの音がなると、熱々の食パンを取り出す。香ばしい香りがさっきよりもまして部屋いっぱいに広がった。
踊るようにリビングの小さなテーブルまで行き床に座ると、祈るように手を合わせた。
腹の空き具合は最高潮だ。最高。
「いただきます。」
その言葉を言うと食パンにかぶりついた。
サクッ、サクッ
焼いてサクサクになったスプレッドの部分がいい音を立てた。口の中に入るとじゅわっとカレーのスパイスの味と香りが広がる。サクサクの歯ごたえと溶けるカレーの濃厚な味がたまらない。
「んむ〜!!!」
思わず声が出た。スプレッドを塗った部分を食べ終えると、半熟で焼いた目玉焼きを上にのせた。とろっとした黄身の部分が下に落ちてしまわないよう慌てて口に入れる。
全部食べ終えたあと、コーヒーで全てを体に流し込んだ。
充電完了。
これで今日もエネルギー満タン。