善管注意義務
こんばんは。
先日の記事続きです。
善良なる管理者の注意義務を略して善管注意義務といいます。
【デジタル大辞泉より】業務を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務のこと。注意義務を怠り、履行遅滞・不完全履行・履行不能などに至る場合は民法上過失があると見なされ、状況に応じて損害賠償や契約解除などが可能となる。
退去立ち合いの際などに、これはちょっと・・・ひどいと思うものは色々あります。
具体的な例を挙げますと、浴室カビだらけ、排水溝がへどろのようなもので詰まっている。ベランダが汚い。キッチンが油まみれ。
あなたのおうちはいかがでしょうか?毎日掃除されておりますでしょうか。
毎日といわなくても、ある程度気にして使用して頂ければ、キッチンで油汚れが発生するのは当たり前だし、日本の気候では浴室にカビが生えるのもやむを得ない場合も多いです。それをどれぐらいのスパンで掃除するかがポイントになってきますが、長く住んでいるとだんだんと自分の家みたいになってきて・・・。掃除をしなくなっていく方もおられるようです。
そして退去の際に取り切れない汚れをどさっと見せつけられるのです。経年劣化は大家様の負担です。ですが、入居する方には善管注意義務が発生します。
これを経年劣化だと主張される入居者様もおられますが、初期にきれいなものを汚くして返すのであれば、原状回復はせめてする覚悟をお持ちいただければなぁと思う次第です。
前回のトイレ記事についても1月に連絡がありこちらから何日がよろしいですかと問い合わせたが、返事がなくそのままになっていたので流れが良くなったのかと思いきや、まだ直っていないと連絡が入る。
国土交通省が交付している標準賃貸借契約書にも次のように記載があります。
(契約期間中の修繕) 第9条 甲は、乙が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。ーーー2 前項の規定に基づき甲が修繕を行う場合は、甲は、あらかじめ、その旨を乙に通知しなけ ればならない。この場合において、乙は、正当な理由がある場合を除き、当該修繕の実施を 拒否することができない。
1月にすぐ入居者が空いている日を指定してくれたら無料(水道設備業者がアフターサービスとしてみてくれる)のものを5月の場合には、水道設備業者が見てくれない場合にはこのケースは借主負担の修繕になります。上記9条への違反でもありますが、仮に仕事が忙しかったから返事が出来なかったことを正当事由だとしても、善管注意義務違反として借主の過失ということができます。
このように何か気になった点、自分ではどうしようもないけど物件に損失を与えるかもしれないということに出会った際は、なるべく管理会社や貸主へ通知をして判断を仰ぎましょう。ちょっとぐらいと放置しておいてひどくなった場合には善管注意義務違反として指摘、損害賠償案件とされてしまいます。
このことへの対策はこまめに必要なことを管理会社または貸主へ報告することだけです。報告して確認(立ち合い)義務さえ果たせば善管注意義務違反を問われることはありません。
コロナ対策だけではありませんが現状を写真撮影して送って頂けるのも管理会社としては非常に助かります。ぜひ、管理会社・貸主といい関係を築いてトラブルのない賃貸ライフの参考にしていただければと思います。