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短編『何も気にならなくなる薬』その299

スムーズな意見交換というのは、お互いの立場が一緒ないしは心を許せる関係性があるからそこ成り立っているのではないかと思う。
もしくは意識下にしっかりとした上下関係が根付いたものであると。

改善点を挙げる。
これは間違ってはいないのだが、これがただの不満の言い合いになるようであれば、それは改善点というよりかは個人の感想発表会になってしまうのではないか。

私はそれについて言及しようと思ったが、
彼らはそれが正しいと思っているのだから、それを言うまでもない。
改善というのは果たして誰にとっての改善なのだろうか?
全体なのか、はたまた自分自身のためなのか?

無関心とは最も教育から遠いのだろうか?


連泊から帰ってくると、自宅というものはいかに単純であるべきかを考えさせられる。
なにせ誰もそれに触れることはない。
自分だけがそれを管理し、取捨選択をする。
ホテルのシーツのように誰かが洗濯をして敷き直してくれるわけでもない。
帰ってくればそこは自分の責任の塊が積み上がっている。
すべてが自分の思い通りになる代償はなかなかに面倒である。
そう考えながら回す洗濯機の音は、生きていることを再び実感させてくれる。

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魚亭ペン太(そのうち公開)
美味しいご飯を食べます。