短編『何も気にならなくなる薬』その78
戦車
チベットスナギツネ
商店街
今回はこの三つがテーマ。
単語ガチャのレベルを一つあげると、聞いたことはあるけれど知らない言葉も出てくる。
辞書を無差別に引くのとどこか似ていて面白い。
題材にしなくてもついガチャを回してしまう。
さて、この三つに何かしらの共通点があるとすれば、アニメ界隈だろうか?
戦車を題材にしたアニメ。
色々なアニメによく出てくる設定の一つに商店街。
チベットスナギツネについては、けものフレンズというアニメで登場人物の一人?として出てくる。
チベットスナギツネの眼はこうじーっと見つめているような目つきで、どことなく人間っぽいところがある。
よく人を動物に例えることがあるが、あれは動物からしたら如何なものだろう。
褒め言葉になるだろうか。
「お前って、チベットスナギツネみたいだな」
「どうしてわかったの」
「いやいや、みたいだなって」
「私が狐だってわかったわけじゃないの」
「えっ、お前狐なの」
「あっ」
「えっ?」
「あー、うん、別にもういいよね、長い付き合いだし、実は私、チベットスナギツネなの」
「ごめん、どういうこと?」
「いや、だから、狐って人に化けるってよく言うでしょ」
「それは物語の中だけじゃないの」
「いや、本当にあるんだよ。それにこの商店街の年寄りの殆どが狐」
「そうなのか」
「その証拠にいつも小さな風邪が流行ってる」
「どんな」
「ほら、いつも咳き込んでるじゃない、コンコンって」
「あ、あれ風邪じゃなかったの」
「中には本当にひいてる人も」
「紛らわしいな、でもどうして日本へ」
「チベットで争いごとがあったでしょ、戦車とか鉄砲とか危険な場所だった。そのときに私の先祖が日本まで亡命して」
「そんな事があったのか」
「だからこのことは伏せといてね、私、この商店街の事が好きだから」
「うん、でも、この商店街も時間の問題だと思うんだ」
「どうして」
「だってそうだろう、大型スーパーが進出してきて、次々にお店を畳むところが増えている」
「いいえ、コンなこともあろうかと、私達には秘策があるわ」
「秘策?」
「えぇ、この商店街を舞台にしたアニメ、漫画で聖地巡礼を狙うのよ」
「でも、この町にそんな作品は」
「何を言ってるの、それをあなたが描くのよ」
「でも、まだ僕は売れない漫画家で」
「大丈夫、編集部のお偉いさんに狐仲間がいるから」
「狐仲間?」
「ホンドギツネが編集長を勤めているのよ」
「それは本当?」
「えぇ、本当よ、だから騙されたと思って描いてみなさいよ」
「そう?それなら頑張ってみるよ」
「えぇ、コンを詰めればうまくいくわ」
「じゃあ、現代版ごんぎつねとか」
「狐が死ぬじゃない、それはだめ」
「じゃあ、恋愛モノでコカコイなんてタイトルは」
「狐仮虎威?虎のいなんか借りる必要はないわ」
「それはそうと、どこの出版社に出せばいいんだ?」
「週間タイガーよ」
「やっぱり虎の威を借りている」