短編『何も気にならなくなる薬』その90

いないいないばあ

集まり

プラカード


「なんだろう、すごい列だ。プラカードを持って立ってる人がいるな、すみません。これ何をしているんです」
「あぁ、これですか、これは講習会の列です」
「講習会?年寄りが多いですがなんの集まりですか?」
「これ、いないないばあの講習会なんです」
「いないないばあの講習会?」
「えぇ、このくらいの年になると、孫が産まれたりして、いないないばあをする機会が増えますから」
「でも、いないないばあって講習を受けなくても誰でも出来そうですが」
「いいえ、いないないばあは講習を受けていたほうがいいです。あなたはありませんか?良かれと思って、いないないばあをして、全く反応をされずに恥ずかしい思いをしたことは」
「あっ、たしかにあります……アレからいないないばあをするのに抵抗があります」
「そうですよね、ではあなたもちょうどよかった。講習を受けていくといいですよ」

「はい、ではこれより第171回いないないばあ講習会を始めさせていただきます」
「そんなにやってたんだ」
「まず、赤ん坊は好奇心旺盛ですから、赤ん坊がどこを見ているのか、ちゃんと理解しないといけません……ここまでで何か質問はありますか?」

「あれ、よくみたら高齢の男性ばっかりだな。あのすみません、ここにいるのは男性ばかりですが、男性と女性では講習内容が違うのですか?」
「えぇ、いないないばあなので」

美味しいご飯を食べます。