奇をてらうと火が出る。
「その体勢は何?」
家に帰ってくると、普段布団でゴロゴロと自堕落な生活をしているはずの彼女が、ヨガのような体勢を取ったまま固まっている。
まるで昆虫のサナギが孵化を待つようである。
「今、つらいから笑わないで」
理解をしているつもりではあったが、まだ理解は足りなかったらしい。これを期に色々聞くことにした。
数時間うずくまる人もいれば、終始機嫌の悪い人、氷を噛む人、暴食や偏食になる人。女性の数だけ正解があるらしい。個人差があるだけに明確な対処法はなく、各々が毎月試行錯誤をしている。
そして、今回はこのヨガもどきが彼女の中の正解らしい。
不機嫌でないだけありがたいのだが、ちょっと手伝ってと言われヨガからストレッチに変わる。
「腰のあたり叩いて」や「背骨押して」
と次第にストレッチからマッサージになる。
「嫁の生理が面白いってエッセイどう」
「それは炎上するわ」
色々と悪戦苦闘する姿を理解してもらうためにコミカルにするのは危険だ。かといってそれを知らないがために、嫌な印象とイーコルで結んで怪訝な表情をとってはいけない。
ポジティブてありつつも余計な冗談を言わず、必要なことがあれば何でもしてあげる気持ちでいたほうがいいのかもしれない。
実際のところ、好きならそれくらいできるだろうという話だ。
彼女たちが常に試行錯誤をしているのだから、男性側もその接し方を試行錯誤するべきなのだ。
美味しいご飯を食べます。