短編『何も気にならなくなる薬』その183
給油口
サウンドトラック
しわくちゃ
ゆっくりと滑らかに車が停まると、車内から音楽が漏れて聴こえる。
助手席から降りてきたしわくちゃの老人が給油口を開け、慣れた手つきでガソリンを注ぐ。
若い男性がゴミ袋を持って受付へと歩いてくる。
そんな姿を見て思わず聞いてしまう。
「親子ですか?」
「いや、さっきヒッチハイクをしてたから拾ったんだよ」
「あのおじいさんを?」
「なんだか、よくわからないけど、面白いから乗せてみたんだが、金払いもいいし、音楽も趣味が会うから、一人でドライブするよりかは面白いと思ってね。なんでも免許返納して自分で運転できなくなったから、誰かに運転してほしかったんだってさ」
色んな人がいるんだ。ただそれだけに尽きる。
年をとっても好きなことができるのはなんて幸せだろう。
「良い旅を」
車はガソリンスタンドを後にする。
美味しいご飯を食べます。