This is “日本のガウディ” その名は梵寿綱(ぼん じゅこう)Part2【東京・和泉】
どうも!
「珍スポの達人」、略して「ちんたつ」です。
“日本のガウディ”こと梵寿綱の建築をご紹介するシリーズ。
今回は、京王線代田橋駅から徒歩7分ほどのところにある「ラポルタ・和泉」と、そこから150m離れた「マインド和亜」を取り上げます。
まずは1990年築の「ラポルタ・和泉」から。
代田橋駅を降り、甲州街道を渡って通りを1本入るとすぐに印象的な建物が目に飛び込んできます。
金色に輝く髪をなびかせ、艶かしく身をくねらせる女性の彫刻が目印です。これは「樹下美人図」といって、豊穣の象徴だそうです。ちなみに「ラポルタ」は「扉」という意味です。
エントランスの壁は梵寿綱節全開のモザイクタイル張りになっていて、タコの足をモチーフにした階段が内部へと誘います。
居住スペース入り口にはデコラティブな柱が2本ありますが、よく見ると右側の柱は人の顔のような装飾になっています。
樹下美人図の背面は高い吹き抜けになっていて、ステンドグラスの光が幻想的な空間を演出していました。
続いて、「ラポルタ・和泉」から150mほど離れたところにある「マインド和亜」へ。こちらは1992年築。オーナーが同じなのかと思っていたら、大手ゼネコンの企画部長が、「ドラード和世陀」を新築当時何度も見に行って、通勤途中にたまたま見つけた「ラポルタ・和泉」を覗いて設計をお願いしたんだとか。外壁のモザイクタイルやバルコニーの造形が異彩を放っています。
入り口の階段は、「ラポルタ・和泉」と同様に滑らかな曲線を描いていました。直線的な壁や天井の持つ力強さと、曲線のしなやかさが見事に調和している感じがしますね。
エントランスから覗く中庭は、地上5階の吹き抜けの天窓から光が注がれ、地中海の雰囲気が漂っています。大理石でできた床のモザイクはクジラの胴体に見立ててデザインされたもので、40種類ほどの石が使われているようです。
羽衣を思わせる天井も秀逸。これは“カリスマ左官”と呼ばれた久住章さんの作品。余談ですが、息子・久住有生さんは2018年にNHK「プロフェッショナル」で特集されました。高校時代、「左官職人になりたくない!」と頑なに拒否していた有生さんですが、章さんの「世界を見てこい」という言葉でヨーロッパを回り、スペインでアントニ・ガウディの建築に圧倒されたことをきっかけに父の跡を継ぐ決意をしたそう。
“日本のガウディ”と呼ばれる梵寿綱の建築に携わっていた久住章さん。そしてガウディの建築を見て左官職人になることを決めた息子の有生さん。運命の糸がどこかで繋がっていたんですね。
ということで、代田橋にある梵寿綱建築2つを紹介しました!
次回は梵寿綱シリーズのラストとして、池袋編をお届けします。
よかったら動画もご覧ください!
・訪問スポット:ラポルタ・和泉 / マインド和亜
・アクセス:京王線代田橋駅 徒歩7分
・住所:杉並区和泉1丁目4-8 / 杉並区和泉2丁目27-27