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あるカーデザイナーのクルマ選び007
このカローラリフトバックという車は、全高はセダン系のカローラ/スプリンターより低くクーペをベースにロングルーフ化しテールゲートを付けたスタイリッシュなマルチパーパスカーでした。
私の中では欧州車のシューティングブレークやMGBクーペのイメージに近いと勝手に思っていました。
その頃スポーツ系というと、ややオイル臭い感じがする硬派なイメージが多い中で、ちょっと洒落たスポーティーさが大好きでした。
基本は5人乗りの車でリアシートもちゃんとしたのがついているのですが、大きな荷物を積む時にはリアシートを倒し、大きく開くテールゲートから荷物が楽々積めるのが魅力でした。
しかし、私にはシューティングブレークがイメージだったので、普段からリアシートを倒し、2シーターとカーゴスペースというセッティングで使っていたので、2シータースポーツカーという気分でした。友人からも「これって2人乗り?」と言われて、ちょっと気分良くしていました。
美大でデザインを学んでいた私にとって、この機能性は、学校の課題作成のための材料買い出しや作品の運搬には最適でした。
車を探し始めたのもそのニーズがあったからで、最初は営業車と言われる安いライトバンを買い、自分なりに改造するのも楽しそうだと考えていました。
先述の中古車屋の叔父に、最初に勧められたのはブルーバードのライトバンでした。価格も手頃で、すぐに気に入り、それにしようと思っていました。
ブルーバードは510系の頃から好きな車種であったし、サニーやカローラもバンは玉数は多かったが、あまりにも営業車イメージが強く、よく見かけるのも抵抗ある、という変なこだわりがあったように思います。
この610系、通称「ブルU」はちょっと脂肪がつき過ぎたボリュミーなボディは510ほど好きではなかったですが、バンはルーフやサイドウインドウが後ろに伸びているので、長さ感が強調され、幾分スリークでスマートに見えました。それに、カローラやサニーに比べると圧倒的に数は少ないのが好印象でした。
しかし、この車を見にお店まで行って、出会ったのが、カローラリフトバックだったのです。
そして、バンには比べ物にならないスタイリッシュさに一目惚れしたのでした。
価格はブルUの倍でしたが、5ナンバーで車検も商用車より長かったし、アルミホイールもついていて、自分には勿体ない仕様でした。
叔父にも、「やっぱり気に入ったのでないとな!」と乗せられ、少し安くしてもらい、といっても、親にお金は出してもらうのですが、「仕送りは減らされてもイイです!」と、もう気持ちは憧れのリフトバックのオーナーでした。
ちなみに、このリフトバックという名前はトヨタがセリカリフトバックとして出したのが最初で、トヨタ車はテールゲート付きのクーペをそう呼んでいました。このセリカリフトバックは和製マスタングとも揶揄されていましたが、私にとっては最高の憧れの車だったので、名前だけですが、そのリフトバックに乗れるのは感激でした。
My 1st Carは大学時代のいろんな思い出を満載したリフトバックだったのでした。
つづく