あるカーデザイナーのクルマ選び016
こんな風に、基本はスポーツレジャーへのトランスポーター兼、長距離移動車の役割が殆どでしたが、一度だけ、本格オフロード走行に行ったことがありました。
T社系列メーカーのA車体さん(現Aコ社)という、ランクルなどを主に開発する専門家の方々と走りに行ける機会があり、全く未経験の私でも、ノーマルのハイラックスサーフでも安全に楽しめますよ。ということで参加させてもらいました。
しかし、実際行ってみると皆さん本格的に改造された武者だらけ。ダイバー仕様とか言ってる私のハイラックスサーフは、とてもひ弱に見えました。
タイヤなんて、皆さんのと比べると、まるでカミソリタイヤでした。
山の尾根を走るコースで、所々崖をよじ登るようなところがいくつもあり、全長が短く軽量のジムニーやランクルFJ40のショートホイールベース車たちは軽々その崖をよじ登り、登り切った先の道幅の狭いところに前輪を片方を引っ掛けるようにして最後にリアを上に乗せるという神業で、難なくそこをクリアしていました。
さすがに大きめのランクル70系、80系は別ルートで目的地に向かうことになり、「では、あそこへ向かいます」と場所を指示されました。
私のハイラックスが隊列の最後尾だったので、先ずは自分が動き出さないと、と思いバックし始めたところ、誰もついてきません。
私は、指示を聞き間違えたかと、元の場所に戻ってみたら、みんなはそこから一直線に目標地点目掛けて斜面を降りて行っていたのです。
「えー!マジですか?!」と度肝を抜かれて反ベソ状態の私にその方々はにっこり笑って「あそこに向かいましょうって言いましたよね」と。
確かにそう聞いたと思いますが、この人達にとって道は関係ないのか。というのが正直な気持ちでした。
「私のハイラックスはノーマルなので」と躊躇していると「大丈夫です!これくらいは走れるように作られていますから、安心してください(笑)」と、開発してる人に言われては、否定はできなく、私もチャレンジすることに。
「下りはローレンジにして、ブレーキは使わないで降りて行きましょう。そして、上りの途中でシフトチェンジはしないで一気に上まで行ってください」とそれだけを教えられ、「では、行きましょう!」でした。
そして、斜面に直角になるように車の向きを変え、ローレンジにして少しづつ前に進むと全く前が見えない。
斜面が急なため、自分が降りていく地面が見えないのです。
前で見てくれているので、危険な状態ではないのはわかっていても、見えないところへ降りていくのは、何とも恐ろしい。
そして車はなんとか斜面を下りだしました。
そうすると、次に目に入ってきた光景は、その先の斜面を登っていく車のプランビュー(上からみた図)でした。
こちらは下り、向こうは上りなので結果的に向こうの車のプランビューが見える状態に、ということです。まるで、ラジコンのオモチャが走っている映像を見ている気分でした。
そして、そのまま上りの斜面へ。
今度は空しか見えない。一体どこまで登ればイイのか?先が見えないが、ただアクセルを踏み続けるだけ。
でも、彼らが言ったように、ノーマルのハイラックスは何の問題もなく登っていくのでした。
それは、もう初めての体験で大興奮!!
そして無事に斜面を登り終えた時には大感激!!
ハイラックスの凄さを再認識したのでした。
そして、次は砂浜の海岸へ。
つづく