古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1049番
題しらず
左のおほいまうちぎみ
もろこしの吉野の山にこもるともおくれむと思ふ我ならなくに
左大臣
唐の吉野の山に籠もるとも遅れむと思ふ我ならなくに
あなたが唐土にある修行の山に籠もったとしても、付いて行くのが遅れてしまうような私ではないのです
女に対して、そんな簡単にはあなたのことは、あきらめませんよ、と送った歌です。なんとなく強引ですし、女性の方は避けているのかもしれません。
「ひだりのおほいまうちぎみ」は、左大臣。元は「おほきまへつきみ」で、位の高い(おほき、大)人の前にいる人(前つ君)のこと、つまり天皇陛下の前に控えている人です。古今集が出来た時は、左大臣は藤原時平でした。
「もろこしの吉野の山」は、唐(中国)に吉野山があるわけではありませんが、「唐」は「とても遠いところ」、「吉野山」は「修業をする山」ぐらいの意味です。「遠く離れたところへ修行に行って男性との関わりを断つ」という決意であっても、それでも諦めずについていきますよと、歌っています。
いいなと思ったら応援しよう!
応援してやろうということで、お気持ちをいただければ嬉しいです。もっと勉強したり、調べたりする糧にしたいと思います。