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古今集巻第十 物名 433、434番
あふひ かつら
よみ人しらず
かくばかりあふひのまれになる人をいかがつらしとおもはざるべき
人目ゆゑのちに逢う日のはるけくはわがつらきにや思ひなされむ
葵 桂
よみ人しらず
このように逢う日がまれになる人をどうして冷たいと思わないでしょうか
人目があるからと次に逢う日がはるか先なのは、わたしの薄情さだと思ってしまうだろうか
「逢う日」は「あふひ」、「いか『がつら』しと」、「わ『がつら』き」に「かつら」が詠み込まれています。
はじめの歌は「こんなにたまにしか逢いに来てくれないのは、とにかく冷たい」と女が言い、次の歌で男が「人目を気にしているだけで、想いがないのではない、薄情だと思わないでほしい」と言い訳をしています。
京都の葵祭の時には、葵の葉と桂の枝を組んだ「葵桂(きっけい)」というものを飾りとして髪につけたり牛車に下げたりしています。葵が女性、桂が男性という意味もあるらしいので、この歌のやり取りはそれを踏まえているように思います。
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