古今集巻第十四 恋歌四 719番
題しらず
よみ人しらず
わすれなむ我をうらむな郭公人の秋にはあはむともせず
題知らず
詠み人知らず
あなたを忘れようとするわたしを恨まないでください、ほととぎすよ、あなたはわたしに飽きが来て、秋には他の女のところに行ってしまい逢おうとしないでしょうから
男性をほととぎすにたとえて、ほととぎすは秋には山へ帰るように、あなたはいずれわたしに飽きて離れていくだろうから、今のうちにわたしはあなたを忘れます、だから恨まないでください、という女性の歌です。
「忘れなむ」は、下二段活用の動詞「わする」の未然形「わすれ」+願望の終助詞「な」+意思の助動詞「む」の連体形「む」で、「忘れてしまいたい」の意味。
「秋」は「飽き」との掛詞で、郭公(ほととぎす)は秋には山へ帰る(実際は南へ渡っていく)ことと、人(男性)が自分に飽きて他の女性の家に行くことをたとえています。
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