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古今集巻第二十 東歌 1099番

伊勢うた
よみ人しらず
をふの浦に片枝さしおほひなる梨のなりもならずも寝てかたらはむ

伊勢歌
詠み人知らず
麻生浦(をふのうら、おうのうら)に、片枝(かたえ)差し覆ひ、成る梨の、成りも成らずも、寝て語らはむ

伊勢の歌
詠み人知らず
麻生浦の海岸で片方の枝を覆って沢山成っている梨のように、この恋は「なし」に成るのか、成らないのか、実るのか、実らないのか、とりあえず一緒に寝て語り合おう

「片枝差し覆ひ成る梨」とは、何のことなのか、どんな状態なのか、わかりません。少なくとも恋の片一方の自分の気持ちだけは、とても高まっているという比喩かもしれません。
上の句は、下の句の始めの「なり(もならずも)」に掛かる序詞です。極端に言えばこの歌は、どうでもいいからとりあえず寝ましょうと、男が女を誘っています。
「をふのうら(麻生の浦、生の浦)」は、三重県鳥羽市。現在は、生浦湾(おうのうらわん)に麻生浦大橋(おうのうらおおはし)が架かっています。
この歌も「東歌」になっていますから、伊勢も東国と考えていたことになります。近江から不破の関を越えて美濃に入れば、そこは東国です。

#古今集 , #東歌 , #伊勢歌 , #麻生浦 , #梨

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ちのみゆき
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