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古今集巻第十七 雑歌上864番
題しらず
よみ人しらず
思ふどちまとゐせる夜は唐錦たたまくをしき物にぞありける
題知らず
詠み人知らず
思ふどち円居せる夜は唐錦裁たまく惜しき物にぞありける
思う者同士で車座になって楽しく過ごす夜は、唐錦を裁つのが惜しいのと同じで、座から立って離れるのが惜しいものだ
「どち」は、「~同士」です。「思ふどち」は思い合う者同士。友人のこと。恋の相手には、あまり使いません。
「まとゐ」は、「まどゐ、円居、団居」です。
「たたまくをしき」は、「もし裁ったなら残念だ」、「もし立ったなら残念だ」の掛詞です。「まく」は、仮想の助動詞「まし」の連用形。「~することを、もししたなら」という意味。
友とお酒を飲んで夜通し過ごす友情は、唐錦のように美しいから、席を立つのも、錦を裁つのも、惜しいことだ、ということです。
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