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古今集 巻第五 秋歌下 310番
寛平御時、ふるき歌奉れと仰せられければ、竜田川もみぢばながる、といふ歌をかきて、そのおなじ心をよめりける
おきかぜ
み山よりおちくる水の色見てぞ秋は限りと思ひしりぬる
寛平の御時に古い歌を献上せよと仰せになったので、竜田川もみぢば流る神なびのみむろの山に時雨降るらし、という歌を書いて、それと同じ心を詠んだ歌
藤原興風
美しい神の山から流れ落ちてくる紅葉の浮かぶ水の色を見て、秋はそろそろ終わりだという思いを深めた
竜田川もみぢばながる、の歌は川に紅葉が流れているから山では時雨れているのだろう、と直接には想像した情景を表現していますが、興風の歌はその様子を見て秋も終わりだと知ったと自分の気持ちを読み込んでいます。竜田川の歌も古今集に載ってはいますが万葉集的な歌い方だと思います。
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