古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1026番
題しらず
よみ人しらず
みみなしの山のくちなしえてしがな思ひの色のしたぞめにせむ
耳成の山の梔子(くちなし)得てしがな、思ひの色の下染めにせむ
耳成山(みみなしやま)の梔子(くちなし)の実がほしいものだ、恋の想ひの火の色の下染めにしたい
耳成山は、大和三山の一つ。「耳なし」と、「口なし」を掛けています。梔子(くちなし)の花は白ですが、その実は染め物に使うと赤黄色に染まるそうです。それを恋の「こ『ひ』」に掛けて、恋の炎の「火の色」の下染めにしたいと言う歌です。
万葉集の中大兄皇子の長歌「香久山は畝傍ををしと耳梨と相争ひき神代よりかくにあるらし古へも然にあれこそうつせみも嬬を争ふらしき」(香久山は畝傍山を雄々しいから好きだと言って、耳梨山と相争った、神様の時代から恋というものはこうであった、昔からそうなのであるから今でも男は妻を争うものだ)で、香久山と耳成山は、恋の敵として争ったとあります。このような耳成山は恋に関わる山だという意識が前提になっています。
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