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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1020番

寛平御時きさいの宮の歌合のうた
在原むねやな
秋風にほころびぬらしふぢばかまつづりさせてふきりぎりすなく

寛平の御時、后の宮の歌合の歌
在原棟梁
秋風に綻びぬらし、藤袴、綴り刺せてふ蟋蟀鳴く

寛平の御時の后の宮の歌合で詠んだ歌
在原棟梁
秋風で花の蕾が綻んで開いたらしい、藤袴は。袴の綻びを綴り刺して繕えと蟋蟀が鳴いている

「綻びぬらし」は、綻びたようだ、の意味。蕾が綻ぶと、袴の裾が綻ぶ、との掛詞。
「藤袴(ふじばかま)」は、秋の七草の一つです。
「綴り刺せ」は、蟋蟀(きりぎりす、今のこおろぎ)の鳴き声を模したものです。

秋の七草は、山上憶良の歌(万葉集・巻八 1537、1538)が由来とされますが、誰が言うともなく古くから知られていたのかもしれません。1538は、577577の語調で旋頭歌ですから、余計にそんな気がします。

秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花(あきののに さきたるはなの およびをり かきかぞふれば ななくさのはな)

萩の花尾花葛花瞿麦の花姫部志また藤袴朝貌の花(はぎのはな おばなくずばな なでしこのはな をみなへし またふじばかま あさがほのはな)

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