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古今集巻第十七 雑歌上 908番
題しらず
よみ人しらず
かくしつつ世をやつくさむ高砂のをのへに立てる松ならなくに
斯くしつつ世をや尽くさむ高砂の尾の上に立てる松ならなくに
このように生きて、そして生涯を終えるのだろうか、高砂の尾根に立つ松ではないのだから
「かくしつつ」は、このようにしながら、の意味。「隠しつつ」ではありません。
「世を尽くす」は、人生で全てを出しきって終えることです。
松は常緑で簡単には枯れないことから、長寿や永遠を表します。特に、高砂の尾上の松は、昔から有名です。
尾上の松ではないので、いつか終りが来る、だから頑張って生きて人生を終えよう、という歌です。
ちなみに、高砂の松(兵庫県高砂市)と、住吉の松(大阪市住吉区)の対が、相生の松です。夫婦和合の象徴で、お能の「高砂」などの題材になっています。
高砂
高砂や、この浦舟に帆を上げて、この浦舟に帆を上げて、
月もろともに出で潮の、波の淡路の島影や、遠く鳴尾の沖過ぎて、
はや住吉(すみのえ)に着きにけり、はや住吉に着きにけり
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