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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1040番
題しらず
よみ人しらず
我をのみ思ふといはばあるべきをいでや心はおほぬさにして
我をのみ思ふと言はばあるべきを、いでや心は大幣にして
私だけを思っていますと言うのであれば、その言葉をあてにして待っていても良いけれども、いやいや、あなたの心は、大幣のように大勢の女から引かれれば、すぐにそっちへ行こうとするから
「思ふと言はばあるべきを」は、「思うと言うならば」という仮定が成り立つなら、それを受けとめた状態で「自分は存在出来るでしょうけれど」という意味。
「いでや」は、反発の気持ちを伴う感動詞。「いやいや」「ええい、もうっ」ぐらいの感じです。
「大幣(おほぬさ)」は、神社でお祓いの時に奉納する、大きな串にたくさんの幣帛(へいはく、ひらひらするやつ)をつけたもの。お祓いが終わると皆が幣帛を引抜いて持ち帰ります。その様子から、引く手数多(ひくてあまた)、引っ張りだこ、大人気の状態を表します。ですので「心は大幣なり」は、「あなたの気持ちは大幣のように、多くの女から人気者になりたいと思っている」と、指摘する意味と思います。
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