古今集巻第十八 雑歌下 977番
人をとはで久しうありけるをりに、あひうらみければよめる
みつね
身をすててゆきやしにけむ思ふよりほかなるものは心なりけり
人を訪はで久しう有りける折に、相恨みければ詠める
躬恒
身を捨てて行きやしにけむ思ふより他なる物は心なりけり
友人を訪ねなくて長くなった時に、向こうも何か憎んでいるようなので詠んだ歌
凡河内躬恒
我が身を捨てて、心はどこに行ったのだろうか、思っていることよりも、その外にあるものが本当の心だ
わかりにくい歌です。
何か口論になって仲違えしたけれど、それは表面のちょっとした思いであって、そのわだかまっている思いとは違う外側に本心がある、それは君を友人と思う気持ちだ、君だってそうだろう、だから許してくれ、ということのようです。
「身を捨てて行きやしにけむ」は、「この私の体を捨てて、本当の心は離れてどこかに行ったのだろう」ぐらいの意味です。
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