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古今集巻第十八 雑歌下 986番

初瀬にまうづる道に、奈良の京にやどれりける時よめる
二条
人ふるす里をいとひてこしかどもならの都もうき名なりけり

初瀬に詣づる道に、奈良の京に宿れりける時詠める
二条
人古す里を厭ひて来しかども奈良の都も憂き名なりけり

初瀬の長谷寺に詣でる途中で、奈良の古京に宿った時に詠んだ歌
二条
人を古いものにする古里を避けてここにやって来たのに、奈良の都も古い都という残念な名前だ

二条は、源至の娘です。この名前で呼ばれているので宮中に出仕していたことは確かと思いますが、詳しいことはわかりません。
「初瀬詣で」は、奈良県桜井市の長谷寺にお詣りすることです。とても大きな十一面観音さまが御本尊です。
京都から初瀬詣でをする場合、行くときは歩くそうです。簡単にたどり着くとご利益がない、仏の験がないと考えたのでしょう。都を出ると宇治で一泊、奈良に入ったところで一泊、桜井で一泊し、翌日の早朝から長谷寺へお詣りするといった感じです。一日かけて長谷寺にお籠りします。その後は、あらかじめ用意させた馬や牛車に乗ったり、また歩いたりして自由に都へ帰ります。

#古今集 , #雑歌下 , #二条 , #初瀬詣で , #奈良

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ちのみゆき
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