古今集巻第十四 恋歌四 742番
題しらず
寵
山がつのかきほにはへる青つづら人はくれどもことづてもなし
題知らず
寵
山里の家の垣根に生える美しい蔓草は、垣根の木に巻き付くのに、あの人はわたしの近くへ来ても言伝てもない
「山がつの垣穂に生へる青葛人は来れども言伝ても無し」
「山がつ」は、山里に住む人、その家、
「垣穂(かきほ)」は、垣根、
「青葛(あをつづら)」は、くずなどの蔓草、
「人はくれども」、の「くる」は「来る」と「繰る」の掛詞、繰るは手繰り寄せるの繰るで、蔓草の縁語です。男性がやって来ることと、つるが巻き付く(繰る)こと、自分が男性を手繰り寄せることを掛けています。
上の句は「くる」に掛かる序詞です。山里の家の垣根に蔓草が生えている(繰る)状況を想像して、早くあの人が来ないものかと待っています。
作者の寵は「うつく」と読むらしいですが、誰なのかよくわかっていません。
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