古今集巻第十四 恋歌四 689番
題しらず
よみ人しらず
さむしろに衣かたしきこよひもや我をまつらむ宇治の橋姫
又は、うぢのたまひめ
題知らず
詠み人知らず
独り寝の筵に衣を片方だけ敷いて今宵もわたしを待つのだろうか、宇治の橋姫のような我が妻は
又は、宇治の玉姫
宇治に住む妻を橋姫にたとえて、今宵も一人で眠るのだろうか、寂しいなぁ、と言っています。
「さむしろに」の「さ」は接頭辞で、若い、小さいのような意味。狭筵(さむしろ)。
二人で寝る時は、筵に互いの衣を敷きあうそうで、独り寝なので片敷きです。
宇治は京都府。橋姫は宇治橋を守る神さまです。玉姫とも言うようです。そういえば宇治には結婚式場の玉姫殿というのがあったと聞きました(宇治だけかどうかはわかりませんが)。
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