古今集巻第十一 恋歌一 503番
題しらず
よみ人しらず
おもふには忍ぶることぞまけにける色にはいでじとおもひしものを
題しらず
よみ人しらず
思うことに対して、人に知られないように忍ぶことは負けてしまった、顔色には出すまい、出ていないと思っていたのに
思うことと忍ぶことで争ったら忍ぶ方が負けたと半ば冗談で、かつそれぐらい本気だと真剣に詠っています。
「色には出でじ」の、「出づ(いづ)」は、他動詞「出す」(出すまい)とも自動詞「出る」(出ていまい)とも、どちらにも取れるように思いますが、普通は「出すまい」と訳しているようです。ただ、忍んでいるので出てはいまいと思っていたら、気が付かないうちに出てしまっていたと自動詞的に訳すほうが良い気がします。
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