古今集 巻四 秋歌上 227番
僧正遍昭がもとに、ならへまかりける時に、をとこ山にてをみなへしを見てよめる
ふるのいまみち
をみなへしうしと見つつぞゆきすぐるをとこ山にしたてりと思へば
僧正遍昭のもとに行き、奈良へ帰る時に、男山でおみなえしを見て詠んだ歌
布留今道
おみなえしのような美しい女性でも、これでは残念だと思いながら通り過ぎた、男山という男のもとに咲いていると思ったので
女郎花が男山に咲いているという言葉の連想から詠んだ歌です。詞書きにわざわざ遍昭を書いたのは、女、男、僧の取合せもおもしろいと感じたのだと思います。
布留今道は、おそらく奈良の布留の出身の貴族で、僧正遍昭はこの布留の石上寺にいたことがあって知り合いなのだと思います。
男山は京都府八幡市の山です。都から船で鴨川か堀川を下り、八幡の男山のそばを通って、今度は木津川を上り、木津か加茂で下船して平城山を越えると平城京です。そこから山の辺の道を行くと布留に帰れます。
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