古今集巻第十六 哀傷歌 850番
桜をうゑてありけるに、やうやく花さきぬべき時に、かのうゑける人身まかりにければ、その花を見てよめる
きのもちゆき
花よりも人こそあだになりにけれいづれをさきにこひむとか見し
桜の木が植えてあったところ、ようやく花が咲きそうな時に、その植えた人が亡くなったので、桜の花を見て詠んだ歌
紀茂行
花よりも人が先にはかなくなってしまった、どちらを先に失って恋しく思うはずだっただろうか、まさか先に人を恋しく思うとは思わなかっただろう
まさかお亡くなりになると思っていなかった、という意味らしく、なので普通なら花が散って儚くなったなあと二人で思うはずだったのに、ということのようです。
紀茂行(きのもちゆき)は、紀貫之のお父さんです。
この歌は、伊勢物語109段にも出ていて、女性を亡くした友人に送った歌になっています。
応援してやろうということで、お気持ちをいただければ嬉しいです。もっと勉強したり、調べたりする糧にしたいと思います。