題しらず
よみ人しらず
世の中をいとふ山べの草木とやあなうの花の色に出でにけむ
世の中を嫌って避ける山辺の草木だというのか、ああ憂いが卯の花の色に出たのだろう
「とや」は、「とやいふ」(と言うのか)の略。
「あなうの花」は、「あな憂」(ああ悲しい)、「あな、卯の花」(おお、卯の花)と掛詞になっています。
「色に出でにけむ」(いろにいでにけむ)は、色に出たのだろう、です。色に出るは、顔色に出る、表情に出る意味です。ここでは、卯の花の色に憂いが出ている、と擬人化しています。
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