古今集巻第十七 雑歌上 909番
題しらず
藤原おきかぜ
たれをかもしる人にせむ高砂の松も昔の友ならなくに
藤原興風
誰をかも知る人にせむ高砂の松も昔の友ならなくに
誰を昔からの知り合いとしようか、高砂の松も昔からの友ではないので
年老いてしまい、古くからの友はみんな亡くなってしまった、今となっては誰を知り合いと言おうか、高砂の松は昔からそこに立っているが、友とは言えないから、という嘆きの歌です。
一方で、松は「待つ」に通じますので、興風は新しく友ができるのを待っているのかもしれません。高砂の松も昔から友を待っているのだろうという気持ちもあるかもしれません。
「ならなくに」は、断定の助動詞「なり」の未然形「なら」+否定の形容詞「なし」の連用形「なく」+理由の助詞「に」で、「ではないので」の意味。
この歌は百人一首にも取られています。
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