古今集 巻四 秋歌上 229番
題しらず
をののよしき
おみなへしおほかるのべにやどりせばあやなくあだの名をや立ちなむ
題しらず
小野美材
おみなえしが沢山咲いている野辺にもし宿ったなら、ちゃんとした理由もないのに浮気者だとうわさが立つのだろうか
ここでも女郎花を美しい女性と見立てて、一夜を共にするとうわさされてしまうと言っています。
「あやなく」は、形容詞「あやなし」の連体形。道理に合わない、つまらない、という意味です。漢字で「文無し」と書きますが、この場合は「もんなし」ではありません。
「あだ」は漢字で「徒」で、はかない、浮気、不誠実といった意味です。「あだ(仇)」と書くほうは、敵や「かたき」という意味のほか、害や恨み、恨みの種といった意味がありますから、そもそもは同じ言葉だと思います。
小野美材は書に優れていたそうで、同じ小野氏の小野道風はまたいとこぐらいの関係です。また小野小町はいとこのようです。
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