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古今集 巻四 秋歌上 202、203、204、205番

題しらず

よみ人しらず

秋の野に人まつ虫の声すなり我かとゆきていざとぶらはむ

もみぢ葉のちりてつもれる我が宿に誰を松虫ここらなくらむ

ひぐらしのなきつるなべに日は暮れぬと思ふは山の陰にぞありける

日ぐらしのなく山里のゆふぐれは風よりほかにとふ人もなし

題しらず
よみ人しらず
秋の野で人を待っているように松虫の鳴き声がする、わたしを待っているのかと行って、さぁ訪ねてみよう
紅葉の葉が散って積もったわたしの家で誰を待って松虫はここぞとばかり鳴くのだろう、わたしも長くあの人を待って泣いている、来てくれないので落ち葉は片づけないで散り積もったままだ
ひぐらしが鳴くにつれて日が暮れたと思ったのは、山の陰に入ったからだった、日暮しという名の蝉が鳴くのだから日が暮れたと言えるのに、なんだ、歩いて来て山陰に入っただけだった
ひぐらしが鳴く山里の夕暮れは吹く風のほかに訪ねて来る人もいない、でもそんな山里のわびしさもまた美しい

 四首の歌の作者は男女男女のようで、訪ねようと言っている男に対して、待っているのに来ないと嘆く女、山を歩き楽しむ男に対して、誰も来ないけれどもそれもまた良いという女というように対比して並べられているようです。

#古今集 , #秋 , #松虫 , #ひぐらし

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