古今集巻第十八 雑歌下 983番
題しらず
きせんほふし
わがいほは都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり
題知らず
喜撰法師
我が庵は都の巽(辰巳)然(しか)ぞ住む世を宇治山と人は言ふなり
私の庵は都の東南で、このように隠遁して住んでいる、この辺りを世を憂う宇治山とみなは呼んでいる
「巽、辰巳」は、十二支に当てた方角で、南東です。
「然(しか)」は、「このように」の意味。鹿が住んでいる、という掛詞かもしれませんが、歌の意味や言葉と、鹿に関係がないので、そういう意図はないだろうと言われています。
「うぢ山」は、「宇治」と「憂し」の掛詞。
宇治山は、京都府宇治市の東部の山を指すものと思います。現在、宇治市池尾に喜撰山という山がありますが、あとから付けた名前でしょう。ここには関西電力喜撰山揚水式発電所があります。
喜撰法師については、詳しいことは分かっていません。
この歌は、百人一首に取られていて、とても有名です。
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