古今集巻第十二 恋歌二 588番
やまとに侍りける人につかはしける
つらゆき
こえぬまは吉野の山のさくら花人づてにのみききわたるかな
大和にいらっしゃるあの人にお送りした歌
紀貫之
平城山を越えないうちは、吉野の桜花のように美しいあなたのことを人づてにだけお聞きしてお慕いしているのです
貫之が京都から奈良にいる女性に逢いに行くという状況で詠んだ歌です。今なら電車で一時間弱で行けますが、当時は京都を出たあと宇治や南山城で一泊してから平城山を越えて大和に入る、ちょっとした旅です。ただ貴族は長谷寺などへはよく詣でているので、知らない場所へ行く感覚はないように思います。
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