古今集巻第十五 恋歌五 769番
題しらず
さだののぼる
ひとりのみながめふるやのつまなれば人を忍ぶの草ぞおひける
題知らず
貞登
ただひとりであなたを心に眺め暮らすわたしは、古くなる家の軒に長雨が降って草が生い茂るようなもので、わたしには忍ぶ想いがわき起こるのです
「一人のみ眺め、古屋の妻なれば、人を忍ぶの草ぞ生ひける」
「ながめ」は眺めと長雨、「ふるや」は古屋と降る、「つま」は女性の意味の妻と軒先のつま、「しのぶ」は忍草と心に思う忍ぶ、「おひける」は生ひけると老ひける、が掛詞になっています。
貞登は仁明天皇の息子さんで臣籍降下されています。母が皇族ではないことも含め、いろいろなことで苦労された方のようです。
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