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古今集巻第十四 恋歌四 731番
題しらず
よみ人しらず
かげろふのそれかあらぬか春雨のふるひとなれば袖ぞぬれぬる
題知らず
詠み人知らず
かげろうのようにおぼろげに見えて、そうなのか、ちがうのかと思った、春雨の降る日に昔なじみの人に逢ったので袖は涙で濡れてしまった
「かげろふの」は「それかあらぬか」に掛かる枕詞、「春雨の」は「降る」に掛かる枕詞です。
「ふるひとなれば」は「降る日となれば」「古人なれば(昔なじみの人)」の掛詞です。
もうとっくに忘れられてしまい、来てもらえないと諦めていたところ、春雨の降る日に来てくれた、涙で姿がよくわからない、あなたなのですか、違うのですか、という女性の歌です。
春雨なので、雨が降っていても、これから良いことが芽吹いていく感覚があるので、嬉しさが出ているように思います。
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