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古今集巻第十六 哀傷歌 860番
身まかりなむとてよめる
藤原これもと
露をなどあだなるものと思ひけむわが身も草におかぬばかりを
「身まかりなむとて詠める
藤原維幹
露をなど 仇なる物と思ひけむ 我が身も草に 置かぬばかりを」
あの世へ行くのだろうと思って詠んだ歌
藤原惟幹
露をなぜ、はかないものと思ったのだろう、我が身は草に置かないだけなのに
亡くなる前になって、我が身もなんともはかないものだ、露と変わらないなあと、現世に生きた我が身のはかなさを詠んだ歌です。
「など」は、理由を問う疑問詞です。「なぜ、どうして」。
「あだなるもの」は、残念なもの、取るに足らないもの、露に対してはすぐに消えてしまって役に立たないもの、つまり「はかないもの」です。
藤原惟幹(ふじはらのこれもと)は、誰なのかよくわかりません。それもまた、はかないです。
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