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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1021番

あす春たたむとしける日、隣の家のかたより、風の雪を吹き越しけるを見て、その隣へよみてつかはしける
清原ふかやぶ
冬ながら春の隣のちかければなかがきよりぞ花はちりける

明日春立たむとしける日、隣の家の方より、風の雪を吹き越しけるを見て、その隣へ詠みて遣はしける
清原深養父
冬ながら春の隣の近ければ中垣よりぞ花は散りける

明日が立春となった日に、隣の家の方から、風が雪を吹き越して来たのを見て、その隣の家に詠んで送った歌
清原深養父
我が家はまだ冬でありながら、春になった隣の家はとても近いので、中垣を越えて花が散って来たようだ

明日が立春で、もうすぐ正月ですから、隣家と共に明るい気持ちで新年を待つような歌です。
「春立たむとしける日」は、春が立とうとした日なので、その意味の通り立春です。
雪が吹き越してきたのですから、寒いのになあ、嫌だなあと感じるところですが、それを梅の花びらが飛んできた、春をありがとうと感謝を述べています。
最近は、まだ寒いから冬だ、こんなに暑いともう夏だ、だから春は短くなったなどと言いますが、この時代は、暑くても寒くても立春が来れば春は春です。気持ちを春に切り替えて、季節感を楽しもうとするのが雅なのだと思います。

#古今集 , #雑躰 , #誹諧歌 , #立春 , #花

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