古今集巻第十七 雑歌上 907番
題しらず
よみ人しらず
梓弓いそべの小松たが代にかよろず代かねてたねをまきけむ
この歌は、ある人のいはく、柿本人麿がなり
梓弓磯辺の小松誰が代にか万代兼ねて種を蒔きけむ
梓弓を引くと言うように、引こうと思う磯辺に生えるこの小松は、誰の代にのちのちの万代を考えて種を蒔いたのだろうか
この歌は、ある人が言うには柿本人麻呂の歌だ
「梓弓(あづさゆみ)」は、「いる(射る)」の「い」に掛かる枕詞。梓の枝で作った弓。ぴんと張っている、しなやかに様子などの印象です。
「兼ねて(予て)」は、動詞「兼ぬ」の連用形、予期する、前もって気に掛ける、一定の範囲にわたる、あわせ持つ、という意味で、ここでは、前もって準備することです。
小松を引くのは、正月の後の最初の子の日(ねのひ)に浜や川べりで、松の苗を取って来て庭に植え、健康や成長を願う行事です。
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