見出し画像

古今集巻第十七 雑歌上 886番

題しらず
よみ人しらず
いそのかみふるからをののもと柏もとの心はわすられなくに

石上(いそのかみ)古幹(ふるから)小野の本柏、もとの心は忘られなくに

石上の布留の名前と同じように、古い幹が残った野原の本柏のように、もともと最初に会った時の心は忘れることができないものだ

石上の布留(ふる)は天理市の地名。次の古幹(ふるから)を言うためのきっかけです。平安の人にとっては、布留の地は懐かしいふる里の印象なのだと思います。
古幹小野(ふるからをの)は、去年の幹が枯れて残っている木や草の野原のこと。
本柏(もとかしは)は、枯れ葉のついたまま冬を越した柏。
上の句は、もとの心を言うための序詞です。枯れてはいるが去年の形が残っていることを言っています。
こういう古くからの友人は、知り合った最初の頃の気持ちがずっと残っていて大切だ、という歌です。

#古今集 , #雑歌上 , #石上 , #古幹小野 , #本柏

応援してやろうということで、お気持ちをいただければ嬉しいです。もっと勉強したり、調べたりする糧にしたいと思います。