古今集巻第八 離別歌 367番
題しらず
よみ人しらず
限りなき雲井のよそにわかるとも人を心におくらさむやは
題しらず
よみ人しらず
限りのない空の雲のかなたの遠いところに別れて行ってしまうとしても、あなたを心で後らして置き去りにするだろうか
一つ前の歌(366番)は、たびに出るあなたの帰りがいつだろうかと待っています、と妻が詠い、この歌で夫が、遠く離れても心はいつもあなたを思っている、と返して対になっています。
「人を心におくらさむやは」は、「人」は思う相手、目の前のあなた、「心に後らす」は気持ちの上で後回しにすること、「むはや」は、推量の「む」、提示の係助詞「は」、疑問の係助詞「や」で、「するだろうか、(いやそんなことはない)」と反語になっています。
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