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古今集巻第十七 雑歌上 880番
月おもしろしとて、凡河内躬恒がまうできたりけるによめる
きのつらゆき
かつみれどうとくもあるかな月影のいたらぬ里もあらじと思へば
月おもしろしとて、凡河内躬恒がもうで来たりけるに詠める
紀貫之
且つ見れど疎くもあるかな月影の至らぬ里もあらじと思へば
月が趣深いと言って、凡河内躬恒が訪ねて来たので詠んだ歌
紀貫之
月は趣深いけれど、一方では疎ましいくもあるものだ、月の光が届かない里などないと思うから
「月影の至らぬ里もあらじ」というのは、自分の家だけでなくてどこに行っても、この月は見れるだろう、ということです。そのため、趣きがあることはあるけれど、なにか疎ましくもあると、少し機嫌の悪い感じの歌です。
友人が、月がきれいだと言ってやって来たのに、どこででも見れるのだから、と嫌なことを言う理由は、おそらく躬恒は女性の家に行く途中で貫之の所に寄り道したからだと思います。どうせ女にも「月おもしろし」と言うのだろうと皮肉を言っている、そんな気がします。仲の良い関係があるからこそのやり取りなのでしょう。
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