古今集巻第十五 恋歌五 781番
題しらず
雲林院のみこ
吹きまよふ野風をさむみ秋萩のうつりもゆくかひとの心の
題知らず
雲林院親王
吹き乱れる野風があまりに寒いので、秋萩のように色あせて散って行くのか、あなたの心は
「吹き紕ふ野風を寒み秋萩の移りも行くか人の心の」
「まよふ(迷う、紕う)」は、ここでは入り乱れる意味。
「寒み(さむみ)」の「み」は形容詞の語幹に付いて原因、理由を表す。「寒いので」。
「移り行く」は、色あせる、枯れる、散る、歳を取るなどの意味。
雲林院親王(うりんいんのみこ)は仁明天皇の第七皇子、常康親王(つねやすのみこ)。仁明天皇の崩御の後、出家して雲林院にお住いになったので、こう呼ばれます。
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