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古今集巻第十七 雑歌上 917番

あひしれりける人の住吉にまうでけるに、よみてつかはしける
みぶのただみね
住みよしとあまはつぐともながゐすな人忘草おふといふなり

相知れりける人の住吉に詣でけるに、詠みて遣はしける
壬生忠岑
住み良しと海人は告ぐとも長居すな人忘れ草生ふと言うなり

互いに知っている人が住吉に詣でる時に、詠んで送った歌
壬生忠岑
ここは住み良い所だと海人が言ったとしても長居はするな、そこには人を忘れる草が生えているらしいので

おそらくは、恋の相手が住吉大社にお詣りすると言うので、早く帰って来いと言いたくて送ったものと思います。
「住吉(すみよし)」に引っ掛けて、「住み良し(好し)」と地元の人が言っても、のんびり長居はするな、どうやら住吉には、人(自分)を忘れてしまう草が生えているから、という歌です。

「忘れ草」はカンゾウ(萱草)のことと言われますが、他にも忘れ草と言われるものがあるようです。花がすぐに萎れて終わってしまうことを、楽しい良い時期がなかったかのように忘れていると感じたので、この名前で呼んだのでしょう。「忘れな草」とは別です(こちらは、忘れないで下さい、という思いを伝えるもの)。

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