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古今集巻第九 羇旅歌 417番
但馬国のゆへまかりける時に、ふたみのうらといふ所にとまりて、夕さりのかれいひたうべけるに、ともにありける人々のうたよみけるついでによめる
ふぢはらのかねすけ
夕づくよおぼつかなきを玉くしげふたみの浦はあけてこそ見め
但馬国の湯へ旅した時、二見の浦という所に泊まって、夕暮れ時の食事を食べた時に、一緒にいる人たちが歌を詠んだ際に詠んだ歌
藤原兼輔
夕月夜で風景がはっきり見えないので、玉のように美しい櫛の箱の蓋が開くように、きれいな二見の浦は朝が明けて見ることにしよう
「玉くしげ」は「ふた」の枕詞で、箱の「蓋」と「『ふた』見の浦」にかかります。箱の蓋が開くことと夜が明けることも掛詞で、どちらも「あけると美しいものが見える」ことにも掛かります。
但馬の湯は城崎温泉で、二見浦は明石だろうと言われています。
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