古今集巻第十三 恋歌三 665番
題しらず
きよはらのふかやぶ
みつしほの流れひるまをあひがたみみるめの浦によるをこそまて
題知らず
清原深養父
満ち潮の流れが干る昼間は逢うのは難しいので、海藻の海松布が生える浦に波が寄るという逢える夜を待とう
「満つ潮の流れ干る間(昼間)を逢ひ難み海松布(見る目)の浦に寄る(夜)をこそ待て」
満ち潮が引いて干く昼は逢えないので、海松布の浦に波が寄る夜を待って逢いに行きますと女性に送った歌のようです。女性の方は、今夜は来てくれるのだなと準備して待つのでしょう。
掛詞の他に、満つ潮、流れ、干る、海松布、浦、寄るが海に関係する縁語、満つ、流れ、昼間、夜が時間に関する縁語になっています。海松布が生える浦は女、寄せる波は男をたとえていて、浦と波、満と干、男と女、昼と夜の対象関係を詠み込んでいます。
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