古今集巻第十六 哀傷歌 846番
深草のみかどの御国忌の日よめる
文屋やすひで
草ふかき霞の谷に影かくしてる日のくれしけふにやはあらぬ
深草の帝の御国忌の日に詠んだ歌
文屋康秀
草深い霞の谷にお姿をお隠しなさり、照る日が暮れた今日ではないだろうか
「草深き霞の谷に影隠し照る日の暮れし今日にやはあらぬ」
「霞の谷に影隠し」と、「か」を続けて調子を整えています。
「照る日」は、もちろん帝のことです。
「深草の帝」は仁明天皇のこと。嘉祥三年(850)三月二十一日崩御。御歳四十一。都の南の深草に御陵があるので「深草の帝」とお呼びすることがあります。もちろんお隠れになった後にそうお呼びするようになりました。鎌倉時代に、後深草院がいらっしゃいますが、同じように深草に御陵をお作りしたので、こちらは正式な追号が「後深草天皇」となりました。
仁明天皇陵は、京阪藤森駅から東へ800mの名神高速道のすぐ南にあります。草深い谷と言うことはないので、殯は北東の山で行われたのか、または治定の間違いかもしれません。
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