父がおもひにてよめる
ただみね
ふぢ衣はつるるいとはわび人の涙の玉のをとぞなりける
父の喪に服して詠んだ歌
壬生忠岑
喪服のほつれる糸は、悲しみに暮れたわたしの涙の玉を繋ぐ紐になった
「藤衣、はつるる糸は、侘び人の、涙の玉の、緒とぞなりける」
「思ひ」は、ここでは喪に服すこと。
「藤衣」は、葛や藤の繊維で作った粗末な衣服、喪服。
「はつる」は、衣の糸が「ほどける、ほつれる」と、父の喪が「果つる、果てる」ことの掛詞。
「侘び人」は、悲しむ人、ここでは自分のこと。
喪服の糸のほつれに流した涙が絡まる様子を詠んだ歌です。
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