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古今集巻第十三 墨滅歌恋歌三 1108番
恋しくはしたにを思へ紫の下
題しらず
よみ人しらず
犬上の鳥籠の山なる名取川いさと答へよわが名もらすな
この歌、ある人、あめのみかど近江の采女たまへると
「恋しくはしたに思へ紫」の歌の次(652番)
題知らず
詠み人知らず
犬上(いぬがみ)の地の鳥籠(とこ)の山に流れる名取川、さあ行きますと答えよ、我が名は言うな
この歌をある人は、天皇が近江の采女にお贈りになったと言う
この歌は、万葉集巻11の2710番を、何かと混同して書き記したもののようです。犬上は滋賀県、名取川は宮城県でしょう。元の歌は
犬上(いぬがみ)の鳥籠(とこ)の山なるいさや川いさとを聞こせわが名告らすな(のらすな)
犬上の地の鳥籠の山に流れる「いさや川」の名前のように、「いさ(さあ行きます)」と答えよ、わたしに名前を言わせるな
近江の采女は、近江の国から来ている采女ですが、近江の女を大事にするのは、天智天皇ではないか、という印象が残ります。
「犬上の鳥籠の山」は、滋賀県彦根市(犬上郡彦根町)の正法寺山だそうです。そこの大堀川というのが「いさや川」だそうです。名神高速の彦根インター付近です。「大堀」という名前が表すように人工的に流れを変えたのかもしれません。中山道沿いに流れています。
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