古今集巻第八 離別歌 392番
人の花山にまうできて、ゆうさりつかたかへりなむとしける時によめる
僧正遍昭
ゆふぐれのまがきは山と見えななむよるはこえじとやどりとるべく
友人が寺のある花山にやって来て、夕暮れの頃に帰ろうとした時に詠んだ歌
僧正遍昭
夕暮れの間垣は山のように見えてしまってくれ、夜に山は越えられないからと宿って行くように
花山は僧正遍昭のお寺の元慶寺があるところ。今の京都の山科です。都へ帰るには山を一つ越えて行きます。垣根が暗い山のように見えれば、友は帰るのをあきらめて寺に泊まってくれ、夜も語り合えるという期待を持っています。
「ゆうさりつかた」は「夕去り」(夕暮れ)+「つ」格助詞(〜の)+「方」(頃)。
「見えななむ」は、「見え」(動詞「見ゆ」の連用形)+「な」(完了の助動詞「ぬ」の未然形)+「なむ」(願望の終助詞)で、「見えてしまえばなあ」。
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